高機能素材 Week
2025年11月12日(水)~14日(金)
幕張メッセ

真空メカトロ機器事業

長州産業株式会社は、1980年に設立された、山口県山陽小野田市に本社を構えるエネルギー関連製品のメーカーである。主力製品として、太陽光発電システム、蓄電池、エコキュートなどのエネルギー効率化製品を提供している。また、今回の展示会に出展する真空メカトロ機器事業は、有機ELディスプレイやペロブスカイト太陽電池の製造装置など、最先端の技術を応用した機器の開発にも力を入れている。

新開発の誘導加熱方式蒸着源:IHES®

このたび同社では、誘導加熱方式による蒸着源「IHES®」を開発した。独自のEV-ALLるつぼ®を内蔵し、誘導加熱方式を組み合わせた。迅速かつ均一に加熱が行われるため、材料が短時間で蒸発し、迅速な成膜が可能である。これにより、材料の無駄を最小限に抑えつつ、短期間での安定した成膜を実現できる。特に高価な材料を使用するプロセスにおいて、コスト削減効果が期待される。

一般的な蒸着方式との違い:くびれ構造の革新

一般的な蒸着源では、材料を均一に蒸発させることが難しく、特にストレート型るつぼ(容器)では、材料の残量が減少するにつれて成膜の品質が低下する問題がある。しかし、弊社の蒸着源は、るつぼの首元が特徴的にくびれた構造のため、材料が減少しても均一な蒸発を維持できる。これにより、成膜の均一性が大幅に向上し、長時間の安定した蒸着を実現している。

多様な応用分野への展開

誘導加熱方式蒸着源は、有機ELディスプレイのみならず、次世代の太陽電池として期待が高まるペロブスカイト太陽電池など、さまざまな薄膜プロセスに対応可能であり、次世代エネルギー分野での活用が期待されている。同社の装置事業部 装置営業課 中野 克哉さんは「成膜品質を向上させるとともに、コストダウンも実現できるメリットを訴求していきたい」と抱負を語る。(文:落合平八郎広報事務所)


【会社概要】

会社名:長州産業株式会社
代表者:代表取締役社長 岡本晋
設立年:1980年10月                          
業務内容:太陽光発電システム、環境機器の製造・販売、有機ELデバイス製造装置、半導体・液晶パネル製造装置、メカトロ機器の設計・加工・組立・据付・メンテナンスまでの一貫業務 など
ホームページ:https://choshu.co.jp/


誘導加熱方式による蒸着源「IHES®」を開発した。独自のEV-ALLるつぼを内蔵し、誘導加熱方式を組み合わせた(同社提供)

有機ELデバイス向けの試作装置OASISシリーズ。蒸着源「IHES」を搭載できる。蒸着 1 室の実験機からバッチ式・多機能な枚葉式まで、多彩なアレンジが可能。

新開発の誘導加熱方式蒸着源の多様な応用分野への展開に夢が膨らむ