高機能素材 Week
2025年11月12日(水)~14日(金)
幕張メッセ

【12選】工場での省エネ対策やCO2削減のアイデア、取り組む時のポイントを解説

近年、社会全体での環境意識の高まりから、企業にもCO2(二酸化炭素)削減や脱炭素化の取り組みが強く求められています。特に工場では省エネ対策を導入し、環境負荷の低減やコスト削減を目指す動きが広がっています。

本記事では、工場で実践可能な省エネ対策のアイデア12選を紹介します。工程・設備の運用方法を見直し、CO2削減を実現するヒントにぜひご参考にしてください。

目次

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工場として省エネに取り組むメリット


まずは、工場として省エネに取り組むメリットを見ていきましょう。

省エネ対策は、環境負荷の低減だけでなく、コスト削減、企業イメージの向上、設備の長寿命化など様々なメリットをもたらします。


コストの削減

省エネ対策でエネルギーの消費量が抑えられれば、ランニングコストの削減に直結します。

特に大規模な工場や24時間稼働の工場は、わずかな割合の省エネも大きな金額のコスト削減につながります。省エネ設備の導入に初期費用がかかることもありますが、長期的には費用を回収してコスト削減が見込めます。


企業イメージの向上

省エネを通じてCO2(二酸化炭素)削減に向けた姿勢を示すことで、環境への意識の高い顧客や取引先、株主からの評価を高めることにつながります。

近年は環境意識の高まりから、省エネ活動は企業のブランド価値を高めて競争力を獲得する意味でも重要な取り組みです。


設備の寿命が延ばせる

省エネは設備への負荷を低減して、設備の寿命を延ばすことにつながることもあります。

寿命で設備自体を更新するまでの期間も、摩耗・劣化による部品交換が少なくなる他、故障・不具合のリスクが低減され、修理費用の削減にもつながります。

なお、工場全体で省エネに取り組むなら展示会での情報収集もおすすめです。「素材工場の脱炭素化展」では、燃料・製造プロセスから工場全体に至るまであらゆる脱炭素技術が一堂に集結します。

工場での省エネ対策のアイデア12選


工場での具体的な省エネ対策のアイデア12選を見ていきましょう。

  • コンプレッサ吐出圧力の低減
  • コンプレッサの代替にルーツブロワを導入
  • コンプレッサの台数制御システムの導入
  • 水洗ポンプへのインバータの導入
  • スクラバーファンへのインバータの導入
  • 老朽化したボイラの更新
  • 不要時にボイラを停止する
  • 照明をLED に更新
  • 照明スイッチの細分化
  • 冷凍庫の温度の調整
  • 廃熱の再利用
  • 太陽光発電の導入

一般社団法人 省エネルギーセンターの「工場の省エネルギーガイドブック」や環境省 SHIFT「過去のCO2削減対策メニュー」をもとに具体的な事例を紹介していきます。


コンプレッサの省エネ対策


コンプレッサ吐出圧力の低減

必要圧力に対して吐出圧力に余裕があるため、吐出圧力を0.7MPaから0.6MPaに下げた事例です。吐出圧力を調整することで電力使用量の削減が可能となりました。

この事例では、電力使用量で年間23,700kWh、費用として年間545,000円の削減が達成される見込みです。

削減金額

545,000円/年

削減される電力使用量

23,700kWh/年

CO2削減量

10.5t- CO2/年


コンプレッサの代替にルーツブロワを導入

排水処理槽の曝気用の空気をコンプレッサ(吐出圧力0.69MPa)からルーツブロワ(定格圧力60kPa)に置き換えた事例です。コンプレッサによって必要以上の圧力で供給している場合、ルーツブロワに置き換えることで電力の削減が可能となりました。

この事例の試算では、年間4,023,000円が削減可能な見込みです。

削減金額

4,023,000円/年

削減される電力使用量

174,900 kWh/年

CO2削減量

77.1t- CO2/年


コンプレッサの台数制御システムの導入

多数のコンプレッサをそれぞれ低負荷で稼働させると効率が低下してしまうところを、台数制御システムにより稼働台数を抑制し高負荷で運転することで効率を高めることができた事例です。

4台のコンプレッサで全体の吐出流量27m3/minを賄っていたところを、通常のベース負荷はコンプレッサ2台(55kW)を100%負荷で稼働させ、変動分をもう1台(37kW)で賄うことで、全体の効率を高め、年間4,873,000円の削減が可能となりました。

削減金額

4,873,000円/年

削減される電力使用量

257,836kWh/年

CO2削減量

135.4 t- CO2/年


ポンプ・ファンの省エネ対策


水洗ポンプへのインバータの導入

塗装設備の脱脂・水洗工程で流量をバルブ調節していたところを、インバータ制御に置き換えることで、バルブでの圧損分が改善されてポンプの消費電力の削減が可能となりました。

年間5,000時間稼働の水洗ポンプにインバータを導入し、電力使用量が年間12,000 kWh、費用が年間276,000円削減される見込みです。

削減金額

276,000円/年

削減される電力使用量

12,000 kWh/年

CO2削減量

5.3 t- CO2/年


スクラバーファンへのインバータの導入

排気用スクラバーの風量をダンパで調整しているところを、インバータ制御に置き換えることで、ダンパの圧損分が改善されてファンの消費電力の削減が可能な事例です。

インバータ制御を導入し、さらに休祭日のモーター運転時間も減らすところまで実施する事ことで、電力使用量が年間125,800 kWh、費用が2,893,000円削減される見込みです。

削減金額

2,893,000円/年

削減される電力使用量

125,800 kWh/年

CO2削減量

55.5 t- CO2/年


ボイラの省エネ対策


老朽化したボイラの更新

老朽化したボイラを省エネルギー性が高い最新ボイラに更新することで、燃料使用量の削減を行った事例です。

具体的には、燃料を重油から都市ガスに燃料転換するとともに高効率で負荷調整容易な小型貫流ボイラを導入することで、原油換算での燃料削減量が年間82kL、削減金額が年間3,368,000円となっています。

削減金額

3,368,000円/年

原油換算削減量

82kL/年

CO2削減量

617 t-CO2/年


不要時にボイラを停止する

毎週月曜日の暖機運転の時間を見直し、蒸気ボイラ点火時刻を午前1時から午前5時に遅らせることで燃料使用量を削減した事例です。

計測記録と参考資料のデータからの算定によると、原油換算での燃料削減量が年間43.7kL、削減金額が年間2,874,000円と見積もられています。

削減金額

2,874,000円/年

原油換算削減量

43.7kL/年

CO2削減量

84.3t- CO2/年


照明・空調の省エネ対策


照明をLED に更新

工場の作業場や事務室などで使用されている照明をLED照明に更新することで、電力使用量を削減できます。

この例では、旧式の水銀灯を使用している工場倉庫の照明をLEDに更新し(250W照明100台、400W照明50台を更新)、電力使用量の削減が年間80,100 kWh、削減金額が年間1,842,000円と見積もられています。

削減金額

1,842,000円/年

削減される電力使用量

80,100 kWh/年

CO2削減量

35.3t- CO2/年


照明スイッチの細分化

作業場や事務室などの照明スイッチを細分化して、必要な場所のみ照明をオンにすることで、照明で使用している電力使用量が削減できます。

外光が利用可能なところや作業者が不在のところを消灯したこの事例では、電力使用量の削減が年間1,106kWh、削減金額が年間17,000円の効果を生んでいます。

削減金額

17,000円/年

削減される電力使用量

1,106kWh/年

CO2削減量

0.6t- CO2/年


冷凍庫の温度の調整

工場の材料や食品などを保管している冷凍庫で必要以上に低い温度設定にしている場合、適切に温度設定することで電力使用量の削減が可能です。

-28℃から-25℃に変更したこの事例では、電力使用量が年間17,000kWh、費用が年間391,000円削減される見込みです。

削減金額

391,000円/年

削減される電力使用量

17,000kWh/年

CO2削減量

7.5t- CO2/年


その他の省エネ対策


廃熱の再利用

工場内の工程で排出される廃熱を回収してエネルギーとして再利用することで、燃料の削減やCO2排出量の削減につながります。

粉体塗装乾燥炉の廃熱を回収して導入外気の予熱に利用すしたこの事例では、LPG(液化石油ガス)の削減量が原油換算で年間15.0 kL、削減金額が年間3,805,000円です。

削減金額

3,805,000円/年

原油換算削減量

15.0 kL/年

CO2削減量

34.7 t- CO2/年


太陽光発電の導入

工場で使用する電力の一部を太陽光発電で賄うことで購入電力が削減でき、また自然エネルギーの活用によりCO2排出量の削減にもつながります。

40kWの太陽光発電設備(アレイ傾斜角20°、アレイ方位角15°)を導入したこの事例では、購入電力量が年間43,390kWh、費用が年間738,000円削減される見込みです。

削減金額

738,000円/年

購入電力の削減量

43,390kWh /年

CO2削減量

22.5t- CO2/年

省エネを工場で進める時のポイント


省エネを工場として進める時の基本的なポイントをあらためて確認しておきましょう。エネルギーの見える化、PDCAサイクルによる改善の2つがポイントです。


エネルギーを見える化する

省エネを効果的に進めるためには、まずエネルギーの消費量を見える化することが重要です。

各工程でのエネルギー消費量を数値化してリアルタイムで確認できる状態をつくることで、具体的な改善目標を設定しやすくなります。従業員にとってもエネルギー消費が可視化されれば、省エネの成果が実感しやすいでしょう。


PDCAサイクルを回して改善を図る

単発の施策で終わらず、長期的に省エネ活動を続けていくためにもPDCAサイクルを意識した取り組みを行うことが基本です。

省エネの計画を立て(Plan)、施策を実施(Do)し、成果を適時チェック(Check)し、施策や管理の見直す(Action)流れを繰り返すことで、持続的な省エネ活動が実現できます。

省エネ・脱炭素化の最新技術を知るなら「素材工場の脱炭素化展」へ!


RX Japanが主催する展示会「素材工場の脱炭素化展」では、素材工場の脱炭素化のための最新技術が数多く展示されます。工場の省エネ、脱炭素化に向けた取り組みを進めている方はぜひご来場の上、情報を収集してはいかがでしょうか。

なお、当展示会は、鉄鋼、化学、窯業・セメント、紙・パルプ、非鉄金属などの素材工場の脱炭素化に特化した専門展です。燃料・製造プロセスから工場全体に至るまであらゆる脱炭素技術が一堂に集結します。

下表に、開催地域・開催場所・日程をまとめました。

開催地域

開催場所

日程

大阪

インテックス大阪

2025年5月14日(水)~16日(金)

東京

幕張メッセ

2025年11月12日(水)~14日(金)

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まとめ


工場として省エネに取り組むメリットや具体的な省エネ対策を紹介しました。

工場全体に目を向けると、コンプレッサ、ポンプ・ファン、照明・空調設備など様々なところにエネルギー消費を削減する余地があります。工場の省エネ対策にあたっては、施策導入後も改善を繰り返しながら、取り組みを続けていくことが重要です。

ぜひ対策を実践して、CO2削減やコスト削減に向けた省エネ活動を進めていきましょう。

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【監修者情報】

▶監修:近藤 元博(こんどう もとひろ)

肩書:愛知工業大学 総合技術研究所 教授

プロフィール:1987年トヨタ自動車に入社。分散型エネルギーシステム、高効率エネルギーシステム並びに新エネルギーシステムの開発、導入を推進。「リサイクル技術開発本多賞」「化学工学会技術賞」他エネルギーシステム、資源循環に関する表彰受賞。2020年から現職。産学連携、地域連携を通じて資源問題、エネルギー問題に取組中。経済産業省総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 脱炭素燃料政策小委員会 委員他

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